土留め工法の種類は大きく分けて次の4つがあります。
┣ 矢板工法(鋼矢板・木製矢板)・・・緩い砂質地盤、高含水比粘性土地盤などの軟弱地盤に用いられる工法で、鋼矢板(シートパイル)を打込みます。鋼矢板による仕切りは遮水性がよく、反復しての使用が可能です。施工は比較的容易であるが、長尺の打込みは鉛直精度の確保が難しく、たわみ性も大きい。
矢板は強度、遮水性、耐久性に優れているが、大型の機械による施工が必要となり、取り扱いが困難。
┣ 親杭横矢板工法(I型鋼・H型鋼)・・・杭と杭(HまたはI型鋼)の間に木製矢板をはめ込み、土圧を杭に伝えて地山を支える工法。硬質の地盤の土留めに適しています。施工は比較的容易で、小規模な埋設物にも対処できます。
遮水性・水密性を確保できないため、地下水の高い(ヒービングの恐れがある)地盤には適さない。
鋼矢板が連続して打設できない場合によく用いられます。
周辺の地盤の沈下により、木製矢板の裏側に空隙ができることがあるので十分に注意する。
┣ 鋼管矢板工法・・・鋼矢板の代わりに鋼管矢板の継手部をかみ合わせ、地中に連続して構築する土留め壁を打設する工法。鋼矢板に比べて止水性が高く、剛性が大きく、地盤変形が問題となる場合や、大型工事の土留め壁にも用いられます。鋼管のかみ合わせにより打設するため、高度な施工技術を必要とし、費用も高くなります。
打設した鋼管は引き抜くことが難しいため、鋼矢板のように繰り返して使用することは困難です。
┣ 連続地中壁工法・・・連壁工法は地中に深い溝を掘り、その中に鉄筋をかごを吊り込み、コンクリートを壁式に連続打設し連続した地下壁を設ける工法。転用はできないが剛性、止水性が高く周辺地盤への影響も小さい。また構造物の基礎への利用も可能。大別すると柱列式と壁式に分類できる。
<の特徴>
1.剛性の高い壁体が得られる。
2.低振動・低騒音で施工が可能。
3.軟弱層から硬質地盤まで、広範囲な土質に適応できる。
4.支持力が大きく、止水性が高い。
5.周辺地盤への影響が少なく、近接施工が可能である。
6.構造物の本体としても利用できる。
7.任意の形状に基礎を作ることができる。
8.地上からの作業となるため、比較的安全。