地盤の掘削を進める際に、掘削面側の地下水位が土留めの外の部分の地下水位を下回るなど、力の不均衡が発生し掘削底面に破壊現象が起こることがある。その破壊現象は、掘削底面の隆起などを目視や間隙水圧計などで監視を行う。
破壊現象の種類
┣ ボイリング・・・地下水位の高い場合や、透水性の大きい“砂質土”の場合(土留め付近に河川、海など地下水の供給源のある場合)に起こる現象。
掘削を進めることにより、土止め背面の水位と掘削面側の水位の差が大きくなる。この水位の差により土留めの外側の水が内側に回り込み、水と砂が湧きだし掘削底面を破壊する現象です。
<ボイリングへの対策>
・土留め壁の根入れを深くする。
・土留め壁の先端付近を薬液などにより地盤を改良し、不透水層を作る。
・土留め壁の背面の地下水位を低下させる。(ディープウェル、ウェルポイント)
┣ ヒービング・・・“粘性土地盤”のような軟弱地盤において、土留め壁の背面の土が内側に回り込んで掘削地盤の底面が押し上げられる現象。土留め壁を倒壊させたり、背面の地盤を沈下、陥没させることがあり、事故につながる。
<ヒービングへの対策>
・土留め壁の根入れを深くし、強度(剛性)を増す。
・地盤を改良することにより地盤の強度を高める。
・土留め壁の背面の地盤をすき取るなどして盤下げする。
┣ 磐ぶくれ・・・掘削底面の下に難透水層(粘性土地盤・細粒砂質地盤)がある場合、地下水の水圧により掘削底面が押し上げられる現象。
<磐ぶくれへの対策>
・遮水性のある土留め壁を使用し、被圧帯水層を遮断する。
・土留め壁の根入れを深くする。
・透水層の地盤を改良し、難透水層厚さを増大させる。
・ディープウェルなどで背面の地下水位低下を図る。