打設したコンクリートが凝固し、所要の強度・耐久性・ひび割れ抵抗性・水密性・見た目の美しさなどを確保するために、セメントの水和反応を進行させる必要があります。それゆえ、打設後、一定期間コンクリートを必要な温度条件で十分な湿潤状態に保ち、外部からの有害な影響を受けないようにしなければなりません。その作業をコンクリートの養生といいます。
コンクリート養生は、「湿潤を保つ」「コンクリートの温度を制御する」「外部からの有害な影響から守る」という3つの項目に分類されます。
<コンクリート養生の方法>
┣ 湿潤養生
一定期間、打込んだコンクリートを湿潤状態に保つ養生方法です。コンクリートの表面を湛水(たんすい)、散水、または湿布、養生マットなどで覆う膜養生を行う。
┣ 膜養生
膜養生は散水による湿潤養生が困難な場合に行われます。養生マットや布、シートなどを使って行います。膜養生剤を表面に散布し、水分の逸散を防ぎます。
また、湿潤養生の期間が終わった後、長期にわたってコンクリートの乾燥(水分が飛ぶ事)を防ぐ場合に用いられます。
┣ 温度制御養生
コンクリートの打ち込み後、一定期間コンクリートの温度を制御する養生方法です。
セメントの水和反応はコンクリートの養生時の温度により影響を受けるため、十分に硬化するまで硬化に必要な温度条件をに保ちます。「給熱養生」「保温養生」などの方法があります。
コンクリートの養生日数
コンクリートの養生日数は、コンクリートの打ち込み後、日平均気温が15℃以上で普通ポルトランドセメントを用いる場合「5日間以上」、早強ポルトランドセメントを用いる場合「3日間以上」、混合セメントB種(高炉セメント・フライアッシュセメント)を用いる場合「7日間以上」を標準としています。
セメントの種類 |
日平均気温 |
||
---|---|---|---|
15℃以上 |
10℃以上 |
5℃以上 |
|
普通ポルトランドセメント |
5日 |
7日 |
9日 |
早強ポルトランドセメント |
3日 |
4日 |
5日 |
混合セメントB種 |
7日 |
9日 |
12日 |
<コンクリート養生に関する注意点>
・コンクリートは、打設後硬化を始めるまでは日光の直射・風・霜等による水分の逸散を防がなければならない。
・硬化中は散水、布や砂を濡らしたもので 十分な湿潤状態を保つ。
・コンクリートが十分に硬化するまで硬化に必要な温度条件に保ち、低温や高温、急激な温度変化等による外部からの有害な影響を受けないように必要に応じて養生時の温度を制御する。
・コンクリート硬化中は外部からの振動、衝撃、荷重、海水等の有害な作用を受けないように保護する。